「うたかたの夢」

2020年10月18日◆菜根譚(さいこんたん)「儒仏道を融合した人生の書」

「うたかたの夢」

崩れおちた石畳には狐が眠り、荒れ果てた
高殿には兎が飛び跳ねている。ここはむかし
華やかに歌舞が催された宮殿の跡だ。

菊の花が冷たい霧にうたれ、うら枯れた草が
雨に煙っている。ここは昔、激しい戦いがくり
広げられた戦場の跡だ。

栄えたといっても、つかの間のこと。強い弱い
といっても、うたかたの夢。それを思うと、気持
まで白けてくる。

●同じ場に立ってみると、誰もが「夏草や
兵どもが夢の跡」(奧の細道)という思い
を禁じえない。

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