「無欲こそ宝である」
「無欲こそ宝である」
私利私欲の追及に走ったらどうなるか。剛直は
骨抜きとなり、明知はくらまされ、愛情は残酷
にかわり、潔白は泥まみれとなり、あたら一生
を台なしにしてしまうにちがいない。
だから古人は、「無欲こそ宝」と言い切ったのだ。
このことばこそ俗世間を超越する道である。
●春秋時代、宋の国に司城子かんという重信
がいた。ある人から玉を献上されたとき、「わしは
かねてから無欲こそ宝だと信じている。そんなわし
に玉をくれたところで、せっかくの宝が宝でなくな
ってしまうだけだ」といって断ったという。ここでいう
古人とはこの子かんを指している。たしかに、欲に
走るとろくなことはない。「近子録」にも、「欲あれ
ば則ち剛なし」とある。