「安きに居りて危うきを思う」

2020年10月18日◆菜根譚(さいこんたん)「儒仏道を融合した人生の書」

「安きに居りて危うきを思う」

天の意志は、予測することができない。試練
を与えるかと思えば栄達を保証し、栄達を
保証するかと思えばこんどはまた試練を下す。
これにはさすがの英雄豪傑たちも振り回され
たり、つまずいたりしてきた。

しかし、君子は逆境に突き落とされても甘んじ
て従い、平穏無事なときにも有事のさいの備え
を忘れない。だから、さすがの天も腕の振るいよ
うがないのである。

●人間世界に起こる現象や出来事には、すべて
天の意志が働いていると古代中国人は考えて
きた。これを「天命」、あるいはたんに「命」ともい
う。この「天命」たるや、どんな現れ方をするか、
容易に予測できないし、かりに予測できたとして
も、人間の力ではどうすることもできない。そこで
「天命」は甘んじて受け入れるが、しかし、いつも
有事の事態に備える心構えだけは失わないと
いう処世態度が生まれてくる。

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