「技巧を捨てる」

◆菜根譚(さいこんたん)「儒仏道を融合した人生の書」

「技巧を捨てる」

文学の修行も道徳の修養も、「拙」すなわち技巧
を捨てることによって、進歩もし、成就もする。「拙」
の一字には無限の意味が含まれているのだ。

たとえば、「桃源に犬吠え、桑間に鶏鳴く」という
表現であるが、なんと素朴な味わいに富んでいる
ことか。

それに比べると、『寒たんの月、古木の鴉」といった
表現は、あまりに技巧が勝ちすぎて、生き生きとした
感じを失っているように思われる。

●「拙」は「巧」の反対で、つたないという意味である。
「巧」を小利口だとすれば、「拙」は愚直ということにも
なろう。「巧は拙に若かず」(え南子)とか「巧詐は
拙誠に如かず」(韓非子)ということばもある。

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