「動も静も忘れ去る」

◆菜根譚(さいこんたん)「儒仏道を融合した人生の書」

「動も静も忘れ去る」

喧噪を嫌って静寂を求めるには、人を避けるのが
いちばんだと思われているらしい。だが、人を避け
ようとするのはまだ自分にとらわれている証拠であり
静寂に執着するのは、すでに心に動揺が兆してい
る証拠ではないか。

これでは、とうてい「自他を区別せず、動も静も忘れ
去る」境地にまで達することはできない。

●生も死も、有も無も、動も静も、ともに超越して
二つとも忘れてしまうことを、「両忘」という。禅語と
しても使われるが、出典は「荘子」らしい。「堯を誉め
て桀を非(そし)らんよりは、両(ふた)つながら
忘れてその道に化するに如かず」とある。

<スポンサーリンク>