「影を留めず」The wind soughs through the bamboo, ・・・

2021年7月15日◆英日で学ぶ菜根譚(さいこんたん)「儒仏道の教えを融合した人生の書」

【英語翻訳版】

The wind soughs through the bamboo,
And when it has passed,
the bamboo has no sound.
The geese fly over the cold clear pool,
And when they have gone,
the pool retains no image,
Therefore, for the gentleman,
A thing is manifest where it appears
for the first time in his mind;
When the thing has ceased,
his mind commits itself
to the void.

▼単語チェック

・sough:ざわざわいう
・retain:留める
・manifest:明白な
・cease:やむ、終わる
・commit oneself:確約する
・void:空の

注)「もとの静けさにもどるのである。」his mind commits itself
to the void.

【日本語翻訳版】

「影を留めず」

風が起これば竹の葉は騒ぐが、吹きやめば
またもとの静寂にもどる。雁が渡るとき淵は
その影を映すが、飛び去ればもはや影を留
めない。

君子の心も、事が起こればそれに対応し、事
が過ぎればまたもとの静けさにもどるのである。

●「荘子」にこうある。
「至人の心は鏡のようなものである。過ぎ去った
ことにも遠い先のことにも思いわずらうことはなく
来るものはそのまま映し出すが、去ってしまえば
なんの痕跡も留めない。だから、どんなものにも
対応できて、しかも傷つけられることはまったくな
い」

「荘子」にはまた「明鏡止水」という有名なことば
もある。
「人は流水に鑑みるなくして、止水に鑑みる」
流れる水は鏡にならないが、静止した水はいっさ
いの姿を映し出す。この鏡と同じように、なにごと
も虚心に受け入れる境地を「明鏡止水」という。

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注)「菜根譚」を英語翻訳版と日本語翻訳版で学べるよう以下の翻訳書籍を参考に、
コンテンツは管理者の選択にて、英語版には単語チェックを加えて投稿しています。

▼参考書籍:

①決定版「菜根譚」 守屋洋著(分かりやすい語釈が加えられており、お勧めの書です。
日本語版のみのコンテンツも本ブログの別カテゴリーにて参照できます。)

②「Master of the Three Ways」Reflections of a Chinese Sage on Living a Satisfying Life
Hung Ying-ming Translated by William Scott Wilson